「さかのぼり適用」 違憲判決
名古屋税理士会千種支部の税理士、日高正樹です。
29日、福岡地裁で違憲判決が出ました。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2008013002083452.html
この裁判の論点は、所得税の税制改正についてです。
私も、この時の税制改正には度肝を抜かれた記憶があります。
通常、税制改正大綱が発表されるのは、その前年の12月半ば頃です。そして、税制改正大綱が国会を通ってから施行されるわけです。
が、この時の税制改正大綱には、とんでもない内容が入っていたのです。大綱が出るまで、事前の情報がほとんどなかったその内容は、「土地建物等の譲渡所得の損失と他の所得との損益通算廃止」でした。これだけでも驚愕だったのですが、更に驚いたのは、廃止される時期でした。
大綱には、来年の1月1日以後の取引きから、と書かれていたのです。すなわち大綱が出てから、約半月後には、今まで出来た損益通算が出来なくなる、ということです。
そのため、税制改正大綱が発表された次の日から、土地建物を持っていらっしゃるお客様に片っ端から連絡することとなりました。この時の苦い思い出から、税制改正大綱が発表されるのをリアルタイムで確認しないと安心できなくなってしまいました(笑)。
しかし、よく考えてみると、税制改正大綱が発表された12月半ばから国会を通る春まで、法は施行されていないわけですから、まだ税制改正は正式に決まっていないわけです。それなのに、1月1日からさかのぼって適用してもいいのか、ということが今回の裁判の争点です。
まだ裁判は続くでしょうから、これからどうなるかはわかりませんが、当時土地や建物を売られた方には直接関係してくる裁判のはずです。
これからも裁判内容に注目していきたいと思います。
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