名古屋 税理士|愛知県長久手市の日高正樹税理士事務所

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耐震強度偽造問題と住宅取得等資金特例

週刊税務通信の平成17年12月5日号に、耐震強度偽造問題と関連する記事が掲載されていました。

それは、問題のあるマンションを購入する時に、相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例を利用していたケースです。

相続時精算課税制度の住宅取得等資金の特例とは、住宅の購入等に対し親から贈与を受けても、相続時精算課税制度の特例控除額2,500万円に1,000万円を加えた、合計3,500万円まで贈与税が非課税になるというものです。

http://www.nta.go.jp/category/pamph/souzoku/pdf/1807.pdf

この特例を利用して購入したマンションに問題があり、建設会社から住宅購入代金の返還を受けた場合には、返還日から2ヶ月以内に修正申告書を提出する必要があります。

なお以下のケースごとに対応が変わりますので注意が必要です。

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①返還された金銭を手元に置いたままにしたケース

返還された住宅購入代金を、親からの贈与分も含めて自身の銀行口座に預金したままにしておくと、贈与分は、ただの金銭贈与とみなされてしまいます。この場合、贈与時に親が65歳以上ならば、通常の相続時精算課税制度の適用対象者となり、親からの金銭贈与が2,500万円以内であれば、特別控除額の範囲内であることから非課税に、2,500万円を超えている場合には超えた金額の20%が贈与税の対象となります。一方、親が65歳未満の場合には、通常の相続時精算課税制度の適用対象外のため、基礎控除額の110万円を利用する通常の計算方法で求めた贈与税の申告が必要となります。

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②返還された金銭を親に返還するケース

これに対して、返還された住宅購入代金のうち、親からの贈与分を速やかに親に返金した場合には、親からの贈与はなかったものとされます。このことから、贈与税はかかりません。しかし、既に相続時精算課税の適用申請をしている場合には、修正申告書を提出しなければならなくなります。

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③現在建築中のマンションで購入資金の返還ではなく、改築となったケース

相続時精算課税の住宅取得等資金特例は、親から贈与があった年の翌年3月15日までに建物を取得等していなければなりません。この「取得」とはマンションの場合、建設会社等との売買契約の日ではなく、実際に購入マンションのカギを受け取った場合等とされています。そこで、建設会社が耐震強度問題のある建築中のマンションについて、購入代金の返還ではなく、改修の方法を選択した場合には、3月15日以後の取得になってしまい期限内取得に間に合わないということになり、親からもらった金銭については、基礎控除額110万円を用いる通常の贈与税申告を行わなければならないことになります。

これから、税制改正などで救済措置が検討される可能性もあり、変更される可能性もありますが、現状では以上のような対応が必要となります。

ただでさえ、耐震構造偽装問題による被害を被っている居住者の方に、税金面においてもこれ以上の負担がかからないようにできればいいのですが・・・。

<参考文献>税務研究会発行 週刊税務通信 平成17年12月5日号 11頁より騚騚벚p>

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